いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

和民さん、「ごめんね」言う相手を間違えてないっスか?

ブラック企業との噂が絶えない和民の創業者・渡邉美樹さんが、自社社員との心温まる話をブログに投稿している。
渡邉さんは議員になる際に会社の役職を全部辞めているはずで、国会議員が一私企業と依然ズブズブの関係なことを自ら開陳してしまったとも言えるが、その件はこの記事の本論ではないので、傍に置いておこう。
涙を誘われた読者から拍手万来が起こり、和民の企業イメージはまたたくまにホワイトになると思われたが、実際は焼き石に水どころか火に油を注ぐ結果に終わっている。

仕事を終え議員会館に程近い、ワタミの新ブランド「炭の鳥子」半蔵門店に食事に立ち寄りました。

そこで、入社4年目の女の子の店長がなんと目の前で手紙を読んでくれました。

そこには、...
ワタミと言う会社を選んで良かった。
両親も自分の成長と活躍を楽しみにしてくれている。
そう綴られていました。

店長からの手紙


渡邊さんはこの後、和民の"イメージ"について言及する。

今、一部の人が「ワタミ」と言う企業に植え付けようとしているイメージがあります。

そんなイメージに精一杯立ち向かおうとしてくれた彼女の勇気に「ありがとう」で胸が詰まりました。

企業イメージの問題は本来もっと経営上層部の仕事と責任なのに…「ごめんね」

今現在、ワタミで働いている子の「こうした声」もあります。
一方、一度もワタミで働いたことすらないひとの声もあります。
同上


ブラック企業とは決して出さず、「植え付けようとしているイメージ」という回りくどい言い回しをするところに、この人のある種の頑さを感じるのだけれどそれはともかく、企業の一面的なイメージにとらわれているのは、むしろ渡邉さんの方ではないか、と思うのだ。

現に昨今、和民の過酷な労働環境については、イメージではなくれっきとした"実態"としてとりあげられている。
「死ぬまで働け」 ワタミの責任問う過労死裁判

たしかに和民の内部には、手紙をくれたこの店長のように働くことで充実感を得ている人もいるのかもしれない。
けれどそれと、苦しんでいる人、苦しんだ人の家族がいるかどうかは、まったくの別問題なのである。


会社に100人の社員がいたとして、そのうち99人がこの手紙の店長のような社員で自社万歳な"イメージ"を作っていたとしよう。
しかし極端な話、残り1人が過労死したり、精神的に病んでしまったりすることは、起こりえる。そしてそれが起きたとき企業は、たとえ相手が1人だとしても真摯にそれに対応するべきだろう。
だが、先のリンクで紹介した訴訟で、和民は一切責任を認めようとしない。実際に起きた問題について、イメージに囚われているのはどちらだろう。

自分の会社のイメージを、1人の店長の話として一緒くたに決めつけること自体、ある意味暴力である。


渡邉さんは「企業イメージを叩いて叩いて、彼女や彼女の両親を悲しませることは悪ではないのですか?」と訴える。
そしてそのイメージは、自分たち経営陣の責任だと、渡邉さんは謝っている。
生きている人間やその家族には、これから時間をかけてゆっくり償っていけばいいだろう。
だがその前にまず、他に謝るべき人がいるんじゃないだろうか。