いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

松井秀喜を苦しめる「世継ぎ問題」

巨人が松井秀喜に、将来的な監督就任を正式に要請したよう。

白石オーナーが、10日に松井氏と会談した際に、宮崎キャンプでの臨時コーチ就任だけでなく、将来の監督就任を要請していたことを明かした。同席していた渡辺球団会長とともに「巨人は両手を開いて待っているよ」と松井氏に伝えた。

巨人、松井氏に監督就任要請も - ライブドアニュース

「次代を考えたときに、松井君が有資格者であることは間違いない」という口ぶりは、まるでなりたいならならせてあげてもいいかのような言い草だ。チームがリーグ2連覇中のいま、監督就任を「予約」しようというのも、かなり異例なんじゃないだろうか。


ただ、松井の引退後の去就についての発言を読むと、どーみても監督就任に前向きには思えないのだ。
最近のだけ拾ってもこんなかんじ。

「そう言ってもらえることは光栄だと思いますが、近未来的というふうには受け取れなかった。長い目でということ。現時点で自分がユニホームを着られるものを持ち合わせていない」
17日の「テレビ朝日ビッグスポーツ賞」表彰式で、渡辺恒雄氏に監督就任を要請されたことを聞かれ

「監督を、ですか? 今、現時点ではあまり思ってないですよ」
故郷石川での7日のトークショーで「監督をやってみたいか?」と聞かれ

遠回しにではあるけれど、ぶっちゃけこれは「モチベーションあがんないからムリっすわ」ってことだろう。なにごとにも誠実な人だから無下にはしていない。けれど同時に、監督をやりたい情熱がない自分の気持ちにも誠実なのだろう。
けれど、巨人サイドもメディアも、監督やれ監督やれの一辺倒という雰囲気だ。少年野球の子どもをダシにしてまでも煽るのである。

少年からのあいさつでは「早く監督としてグラウンドに戻ってきてください。松井監督の元でプレーできるように頑張ります」と言われ、思わず苦笑い。
松井氏 少年の大きな頼み事に苦笑 - ライブドアニュース

もはや「お世継ぎ」のような様相を呈している。
監督は球団と個人の二者間による「契約」により成り立つ職業なはずだが、巨人は、そしてマスコミは、もはや松井秀喜は監督にならねばならない、ぐらいの勢いで、監督待望論を書き立てる。
先に引いたオーナーの「有資格者」発言からしてもそうだが、監督が権力者の鶴の一声で選ばれてしまうというのも、前近代的だ。
例えばJリーグでは、指導者になるには公認のライセンスが必要で、Jリーグや代表の監督を務めるには、その頂点に位置するS級ライセンスが必要なのだ。カズであろうとライセンスなしではJ2の監督にもなれない。ぼくもそうあるべきだと思うし、プロ野球が未だに「オヤジくさい」のは、そうすることができないことに原因があるのだとも感じる。


昨年の国民栄誉賞の騒動のときも感じたが、彼らは未だに「巨人・大鵬・卵焼き」の時代を生きているような気がする。なにごとにおいても、巨人が「正統」や「王道」を歩まなくては気がすまないのだ。
しかも、その「正統」や「王道」を歩まんとする圧力は、かつてより強いんじゃないだろうか。昨年の松井と長嶋茂雄氏に抱き合わせでの国民栄誉賞を受賞したところも、巨人ファンは気分よかったのだろう。


監督になることがそもそもファンサービスなのだ、という声もあるだろう。けれど、いざ押しに負けて松井が監督になったらなったで、今度は結果が求められるのである。弱ければ叩かれる。勝手な気がするのは、ぼくだけだろうか。