いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

【映画評】ホワイトハウス・ダウン ★★★☆☆



テロリスト集団に占拠されたホワイトハウスに偶然居合わせた警察官のケイルが、犯人らから逃げる大統領を護衛しながら、捕われた娘の奪還に挑む。
オープニングのクレジットで監督がローランド・エメリッヒと知り、少し後悔した上で身構えてしまったが、今回は「ちゃんとハリウッド映画してる」という点で今までのエメリッヒ作品とひと味違った。まさに「エメリッヒ版ダイ・ハード」といったところか。


最初の方は不気味なほど「いつものエメリッヒ」色が出てこず、これはどうしたものかと思っていた。
しかし中盤、徐々にいつものアレが頭をもたげ始める。後半から先は爆笑につぐ爆笑なのだが、笑いながらもどこか、その感情とはまた別の興奮、脳内でアドレナリンが分泌されているのもたしかで、これはエメリッヒ映画ならでは。

ホワイトハウスの庭を散々車で走り回ったあと、結局逃げられずプールにドボン!の展開にはさすがに爆笑したが。

スプリンクラーで水浸しになりながらの最後の決闘だとか、すすまみれになった父娘の再会だとか、核の脅威だとか、ぶっちゃけ既視感ありありの要素のパッチワークなのは否めないが、そこは許す。けれど、一番キツかったのは、エア指揮棒を振るハッカー描写。あれだけは恥ずかしくなってスクリーンをみれなかった。われわれはいつまでハッカーのイメージを更新し続けないつもりなのだろう。
主演のチャニング・テイタムは、存在感があるようでないエメリッヒ映画的主人公を熱演。「ゼロ・ダーク・サーティ」の拷問兄さんも、内面があるようでないハリウッド的悪役キャラを好演している。


ただ一点気になったのは、レーティングの関係か人体破壊描写があまりに抑えられすぎ、それが逆に映画に不自然な印象を残していたところ。銃殺描写はどこか避けるように撮られていたし、旅客機がミサイルで撃ち落とされるのはたしかにショッキングかもだが、あまりにサラッと処理し過ぎてて逆にそこに狂気を感じた。そういう時代なのかもしれないが。