いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

【映画評】フィクサー ★★★☆☆

フィクサー [Blu-ray]

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え、オレたちのジョージ・クルー兄がフィクサーに!?ということで喜び勇んで観た映画。
ただ、開始10分にしてコレジャナイ感がただよう。どうも、フィクサーというのは「買収などで事件をもみ消したり裏取引をする人」という意味があるらしい。
でもさ、日本でフィクサーというと



こういう人とか、

こういう人とか、

こういう人を言うだろ!いい加減にしろ!


というわけで邦題がややミスリード気味なのだけれど、観始めてみるとこれはこれで悪くない。

クルー兄演じるマイケル・クレイトンが所属する大手弁護士事務所は、この6年間、あるグローバル企業の公害裁判を手掛けてきた。しかし、ある致命的な(つまり敗訴確実な)証拠が見つかってしまう。
欺瞞的、偽善的な弁護に罪の意識にかられたクレイトンの同僚弁護士アーサーは、契約主に不利になるはずのこの証拠を公表しようとし、クレイトンは何とか彼を思いとどめようとするのだが……というサスペンス。

時系列が前後し、観客にとっては少々説明不足でイライラさせられる時間が多いかもしれないが、「あの時間帯に実は裏でこういう動きがあった」など、終盤で多くの謎は回収されていく。時間があればもう1度鑑賞することをおすすめする。すべてを知ったうえでみると、見ていたはずがわすれていたシーンの解釈のしかたがわかってくる。これは「2度目がおいしい映画」といえよう。


不満が残るとしたら、それはやはり「フィクサー」についてで、日本人になじみが薄いこの仕事が、結局どういうものなのかよくわからない。いちおう「フィクサーっぽい」業務をこなしている描写は差しこまれるが、電話でだれかの話を聞いているだけである。それで解決するなら、そんな仕事だれだってできるだろ。

先日ドラマ『半沢直樹』を原作にはない「銀行マンの通常業務してまっせ」シーンをはさんだことで評価したが、それと同じで、この映画にも「フィクサーの通常(といっても非合法な)業務してまっせ」シーンを入れてほしかった。クレイトンは映画の時点でこの仕事に嫌気がさしているが、彼がそうなるのもわかるというくらい、黒〜い、エゲツな〜い描写が観たかった。


そうなれば、「ひき逃げ」案件において彼がとった行動が、いかにイレギュラーかわかるというものだろう。そこは惜しいけど、これはこれで十分及第点の一作。