いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

【映画評】阪急電車 ★★☆☆☆

片道わずか15分の阪急電鉄今津線を舞台に、様々な悩みを抱えたろうにゃくにゃんにょが出会い、心を開いていく群像劇。関西出身の俳優がキャストに名を連ねたことでも話題になった(のか?)。『図書館戦争』の有川浩の同名原作の映画化。

この映画に関しては、もうある一点が受け入れられるかどうかにつきると思う。
それは、電車に乗った見ず知らずの人々が知り合い、打ち解け合うという荒唐無稽な設定である。たぶんここに全てが集約される。残念ながらぼくは受け入れられなかった。だからかもしれないが、この評価。こうした事は、関西では当たり前なのだろうか。関西人に聞いてみたい。
元カレの結婚式に殴り込んだ中谷美紀が帰りの電車内で出会った宮本信子に事の顛末を聞いてもらった際、「なんか不思議、たまたま電車で一緒になっただけなのに。あるんですね、こんなこと」とこの映画全体をエクスキューズするかのようなことを口にしていて、それも余計だった。


そんなもの、フィクションなのだからしかたないじゃないかと、思われるかもしれない。もちろんそれはそうで、現実にちょっとした「非現実的な展開」が加わるからこそフィクションはいいのだ、それはわかる。
しかし、この映画の描く「非現実的な展開」というのは、その前提として登場人物たちに無条件に備わった「善性」にだいぶ乗っかっているところがある。ぼくの生理はそれを受け付けないのだろうと思う。
また、この映画の「善性」の描き方というのは非常に稚拙で、彼らの変わりに「規格外の非常識野郎」を対置するのである。DV男(というより電車でも暴れた彼の場合は狂人に近い)や、騒がしいオバはんらは、彼らが悪いに決まっているのだから、それによって主人公(たち)が「善き人」でしょ?といわれても、こっちは興ざめである。


脚本もかんばしくない。登場人物がとにかく喋りまくるのだ。ダラダラダラダラ、めそめそめそめそ会話が続く。これが激しくダルい。
もしこれが「ながら視聴」を想定したテレビドラマだったらまだ許容できたのだが、これはずーっと画面を見続けることを前提とした映画であり、ここまで会話での説明が続くと飽きてくる。原作は小説ということで、それでも違和感ないのかもしれないが、映画用にもうちょっとブラッシュアップできなかったか。


ということで、散々なのだが、一つだけ良いところをあげるとすれば、阪急電車今津線の各駅で、それぞれ風情があってよかった。それだけが救いといえよう。