いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

【映画評】ミッシング ID ★★☆☆☆


ミッシングID コレクターズ・エディション [Blu-ray]

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力強い父と気さくな母のもとで育った高校生がある日、失踪した子供の情報を掲載するサイトで自分の写真を見つけてしまう。自分が何者なんだというアイデンティティクライシスに陥っていた最中、黒服の男らに自宅を襲撃され、逃走劇が開始される。原題のAbductionは誘拐を意味する。

映画のノリは全体的に非常に若く、ハイティーン向けのデートムービーである。アメリカの高校生はこういうのを観たあと、しっぽり夜のドライブを決め込むのだろうか?

主人公のネイサンを演じた青年は、ゴリラ成分増し増しのマッド・デイモンという感じで、実際「自分は何者か?」を探るという意味で、「ボーン」シリーズに似ていなくもない。この青年が「ウホー!俺は本当は誰の子なんだーウホウホ!!!」と眉毛の存在感がありすぎるヒロインを連れて逃走劇を繰り広げる。

冒頭の親父との激しすぎるじゃれ合いや、そのあとの自宅大爆発(爆破される意図は不明)など、徐々にテンションがあがっていき、思わぬ大物ゲストが事の真相に関与しているというところでボルテージはうなぎ登りに上がっていく……が、どうやらそこがピークだったようだ。このあとは徐々にクールダウンしていき、大リーグ協力のもと行われたであろう最後の一騎打ちは、ものすごく地味になってしまっている。ここで最悪なのは、ストーリーの鍵であるとともに、主人公の本当の親父という人物の正体が明かされないのである!まさに誰得なひっぱり!

思うに、例の大物ゲストは、ここで登場すべきだった。凄腕スパイの親があの人だったああああああああ!!!というのでもう一つ盛り上がりが作れていたのに、これではあまりに尻すぼみだ。ただ、実際にもしそれがオチだったとすれば、「宇宙人ポール」じゃねーかという誹りは免れなかっただろうが…。この大物も、いつまで昔の貯金で食いつなぐのだろうか。

主人公の身体能力がとにかくすごく、序盤で親父に浴びせた飛び蹴りなど、ポストジャン・クロード・バンダムと言いたくなる。「ロシアより愛を込めて」のオマージュと思われる列車客室での巨漢との肉弾戦も見物。彼のプロモーションと思えば上々。増し増しゴリラくんの次回作にご期待ください。