いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

早期退職で去る教師は、せめて背中で生徒に語るべき

一昨日くらいから話題になっていた、公務員の「駆け込み退職」の問題。
埼玉県で教頭やクラス担任を含む110人が、退職手当減額は始まる前に、前倒しして退職を希望していることがわかり、その後も佐賀や徳島などでも同様のケースがわかっている。

まず、寂しいニュースだよなーとは思いましたよね。
先生っていうのは、経済観念から隔離された職業だと思われがちです。迷える生徒たちを導く聖職であるとともに、そういう意味でも聖域、ならぬ「聖職」だったはずです。そんな彼ら彼女らでもお金のために辞めていってしまうなんて。


でも、退職金のせいで学校を去る教師の人も、けっしてゼニゲバっていうわけじゃないと思うんですよ。
背に腹は変えられないことだってある。いや、変えられないことの方が多い。NHKのインタビューに匿名で答えていた教師は、まだローンも残っているし、今後の暮らしを考えて、早期に退職することはやむ得なかったという胸のうちを明かしていました。辞めていく教師の方々の気持ちもわからなくはない。


彼らだけが悪いわけではありません。
そもそもこれは、3月まで勤め上げるより2ヶ月繰り上げて退職した方がお得、という制度を設計した政治の側に非があります。期限を年度末の3月に設定していれば、こんなことにはならなかったはずです。


これに対して、自民党片山さつき参議院議員がすかさずブログを書いています。


片山さつき Official Blog : 退職金が民間より15%(平均400万円)高いとの調査により、引き下げが決まり、生徒と職場を放り出して駆込み退職した地方教員、警察の方々!公務の矜持は 片山さつき Official Blog : 退職金が民間より15%(平均400万円)高いとの調査により、引き下げが決まり、生徒と職場を放り出して駆込み退職した地方教員、警察の方々!公務の矜持は


今回の退職手当減額は、民間との格差の是正が目的だったそうです。その目的は大筋では間違っていないと思うけれど、繰り返しますが問題は期限の時期が悪すぎるという話です。
公務に民間の感覚をという意味では、片山氏の「50万円が惜しくてやることでしょうか?」という言い草の方が、よっぽど民間の感覚をわかってないですよ。

50万ですよ。
もしぽんと50万円を手渡されたら何を買うか……ぼくなんてもはや使い道が思いつかないですよ。こちとら欲求さえもデフレ化してますんで。ちなみに家賃だと8ヶ月分になります。


それにしても、ここまで話題になってしまったあとで、早期退職される教職員の人たちは、何を語り学校を去っていくのでしょう。彼らの去り際にこそ、生徒たちへの教育的効果っていうものがあるんじゃないでしょうか。
離任式でどんな言葉を生徒に語りかけるんでしょう。
「君たちには、退職金の額でワタワタしないような暮らしを築いてもらいたい」
とでも言うんでしょうか。めちゃくちゃ説得力ありますね。


それに対して、退職金が減っても残ると決断した側の教師です。大半はこちらなんですけど。
こちらの方々は、卒業式で「うちで過ごした日々を忘れないでくれよ。私なんか、君たちの卒業式のために50万円払ったんだから」と冗談まじりに話せば、生徒らの涙腺決壊はまちがいないでしょう。


いずれにしろ、去る側でも、ましてや留まる側でもなく、これが政治のミスであることは明らかなのでした。