いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

文学賞がガチンコ!方式を採る時代

ポプラ社小説大賞に齋藤智裕さん
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2010103100246


水嶋ヒロ(齋藤智裕)の小説がポプラ社小説大賞受賞 「出来レースではないか」と話題に
http://news4vip.livedoor.biz/archives/51641150.html


大賞賞金2000万円の第五回ポプラ社小説大賞を受賞したのは引退した某俳優!?
http://togetter.com/li/64679?utm_source=twitterfeed&utm_medium=twitter



きょう未明の時点ですでに「容疑」は固まりつつあったが、さらにその後に早くも大手によって「発表」され、齋藤智裕=水嶋ヒロはほぼ公式の見解になりつつある。


水嶋ヒロさんにポプラ社小説大賞 賞金は2千万円
http://www.asahi.com/culture/update/1101/TKY201010310356.html


これもひとえに、Twitterの拡散力とスピードだからこそなせる技に他ならないが、ネットがあろうとなかろうと、Twitterがあろうとなかろうと遅かれ早かれ大賞作家=元イケメン俳優という吐き気がするほどのべったべたな筋書きは明らかになっていたはずで、いや、というかむしろ出版社としてはそれがオープンになってもらわないと意味がねーという問題なので、Twitterはそれを速めたにすぎない。


問題は、ここまであからさまかよ、ということだ。
これまでも文学賞だって、けっしてクリーンであったわけではない。聞くところによると、「○○さん、次うちで書いてよ。書いてくれたら賞獲らせてあげるよ」なんてやりとりも、ふつうに行われていたらしい。本屋大賞にしろ、そういった風潮へのカウンターとして生まれた側面もある。これまでの文学賞の選考だって完全完璧の無菌室状態で行われていたなんて、いまどき誰も信じないだろう。



だが、今回がこれまでと根本的にちがうのは、要は他の「ヤラセバラエティ」と一線を化した、文学界の「ガチンコ!ファイトクラブ」だということだ。
すでに知っている人も多いだろうから細かい説明は省くが、ガチンコ!が開発したのは、ヤラセをまぶすことでおもしろくなったコンテンツを、無邪気な視聴者が「ガチ」だと思い込んでみるというビジネスモデル、ではない。竹原さんのだれがどーみたって棒読みなセリフ回しに、毎回定期的に起きる乱闘、それらあからさまなヤラセがあるがゆえに、われわれはついつい視てしまっていたのだ。ヤラセであるがゆえに楽しめる。それがガチンコ!ファイトクラブの開発したビジネスの方法だ。


断言しよう。
おそらく、おそらくではあるが、新進気鋭の小説家・齋藤智裕の小説が出版されれば、売れる。それは読者が「ヤラセ」と知らなかったからではない。作者が元イケメン俳優・・・だからという側面もある。しかし、トドメとなっているのはこれが「ヤラセ」だからだ。「ヤラセ」と知っているから読む。そして「ほー、これがヤラセで賞を獲ったのかぁ」と思いをはせながら読むから楽しくなるのだ。おそらく、幻冬舎郷ひろみ『ダディ』でスタートダッシュをきった時をしのぐ、一世一代のえげつない商法が、今ここに誕生しようとしている。