いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

そこで「腐女子ざまぁwww」と言ってちゃマズいだろ

大阪府では、18歳未満の青少年を性的対象として扱う図書類等の状況についてまず、実態把握を行います。把握した実態を検証・分析し、「大阪府青少年健全育成条例」での規制の必要性等を検討します。
(中略)
大阪府青少年健全育成条例の現状
○青少年の性的感情を著しく刺激する等、青少年の健全な成長を阻害する
  おそれのある図書類を有害図書類として指定
○図書類の販売業者等は、有害図書類を青少年に販売、貸付、閲覧等させてはいけない
有害図書類を陳列する場合には、青少年が閲覧等できないように個別包装した上で
  区分陳列しなければならない
  →描かれる対象の年齢区分なし 実在、非実在を問わない
  大阪府の運用状況
  女性向けコミック誌の規制、ボーイズラブの規制検討 (一部抜粋)


http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1450670.html

件の「東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例」(いわゆる「非実在青少年狩り」ね)が継続審議になったのをまるで待っていたかのような、今回の大阪府の動き。しかしこのこと以上に、東京での「第一ラウンド」に疲弊したオタクたちの、この掲示板においてのこのことに対する「反応」の方が、僕は気になった。

というのも、今回の件に対して、東京での「第一ラウンド」に血眼になっていたオタクの中の特に男(推定)の反応が、思いのほか冷淡だったのだ。

女性向けはゾーンニングが少ない=ゾーンニング強化なら良いんだがな
規制は多方面に拡大しそうだけに困る


という現実的な書き込みも中にはあるのだが、大多数は「対岸の火事」といった態度や、「ざまぁwww」という以前からあった敵意をここぞとばかりにむき出しにしたコメントが多い。中にはこんな「素直」なカキコも。

心底どうでもいいと思った
自分が興味なけりゃこんだけあっさり思えるんだな
規制推進派の気持ちが少しわかった気がする

でも東京と大阪、まったく別のことが起こっているわけではないだろう。


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「第一ラウンド」にて規制反対派は、もっぱら「表現の自由」という「作り手の側の論理」を掲げていた。でもこれって、ある種の「誇張」があることは、否めない。僕自身はアニメもマンガもライトノベルも書いたことはないのでこういうことをいうのはアレなのだが、別にエッチなものだけが「作り手」の「作品」ではない。アニメやコミック・ライトノベルにはエッチなモノばかりではなく、むしろそれ以外の種類の方が多いのだろう。


もちろん「自ら描いて消費する」という「自家発電」の人も中にはいるだろうが、本当のところそれは、受け手の側(と彼らに買ってもらっている出版社)の問題だったはずだ。そこに需要があるから供給されるわけだ


だから、「表現の自由」なんて大それたもんを担ぎ出してマンガを擁護している様は正直、僕個人的には「背中にこそばゆいもの」を感じていたのだが、ささやかながらもそんな「表現の自由」という論点があったからこそ、この規制反対運動が賛否を限らずネット上ではある一定のポピュラリティを獲得したわけだ。


そんなふうに「表現の自由」で前回を争ったんだから、今回の大阪府の件、「大阪の件は規制対象がレディコミ・BLだけなら俺関係ねーからいいや」ではダメでしょ。マンガ全般に対する規制によって「表現の自由」が脅かされるなら、レディコミ・BL等(のみ)の規制によって脅かされるのもまた「表現の自由」なのだとは、どうして考えないのだろう。アニメやコミック、ライトノベルの全般が表現であり、レディコミ・BLが表現ではない、というのならまだわかる。でも、前者が「表現」であって、後者は「表現」ではないということを論理的に説明する術を、僕は思いつかない。やはりどちらだって表現に変わりないのだ。


東京においてのそれら全般に対する規制には反旗を掲げ、部分的な規制には無関心というこの態度。そういう態度をとるということは結局、東京での規制反対運動における「表現の自由」という争点はかりそめのものにすぎず、この反規制の運動の真の動力源になっているのはやはり「愛玩物をとりあげられそうになっているオタクたち」による「好きなモノ擁護」にすぎないじゃないか、ということを臭わせてしまうといっても過言ではない。だから「東で戦ったオタクたち」は必然、「西でこれから戦い始めるかもしれないレディコミ読者・腐女子」の件についても(本当のところどう思っていようと)無理矢理首をつっこみ、これまた「表現の自由」の観点のもと反規制の態度で臨まないと、つじつまが合わなくなる。じゃないと彼らの「「表現の自由」を掲げての反規制運動」なんて、説得力もあったもんじゃない。


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それにしても、今回の東京都と大阪府の「ワンツーパンチ」が、実はかなり「巧妙」だったと思えるのは僕だけだろうか。ここには三つの「分断作戦」がある。
ひとつは東京と大阪という地理的分断。もう一つが東京の件が若干盛り下がってから話題に上る大阪、という時間差としての分断。
そして最後の分断というのは、規制対象でも東京がアニメ、マンガ、ライトノベルであったのに対して、大阪が「レディコミ・BL」に特化するというように、若干適用範囲を変えたこと。これにより、東京の件では気炎を上げる男オタクと、大阪の件で気炎をあげる腐女子というように、クラスターの分断が生じる。この分断により、権力の側は総力戦に持ち込まれることなく、局地戦にてプチプチつぶしていける、となるわけだ。


こんな「分断作戦」は、同じオタクでもまったく異なった集団でありかつ、一般的に男のオタクと腐女子との間には「同族嫌悪」の最たるもんの関係があるということを熟知していなければできない。どうやら都庁内か府庁内かには相当の策士がいると考えるのは、僕の深読みのしすぎなのであった。