いいんちょさんのありゃあブログ

85年生まれ、おうし座。今考えてることと、好きなこと、嫌いなことについて

「みなさんのおかげでした」最終回を観ながら考えたとんねるずの「限界」

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昨日、3月22日の放送をもってフジテレビが32年放送してきたバラエティ番組「とんねるずのみなさんのおかげでした」が終了した。

 

32年のうち最後の10年間をほぼ準レギュラーのように出演していたおぎやはぎは、番組終了が発表されて以降、TBSラジオの「JUNKおぎやはぎのメガネびいき」でたびたびこの番組について話題にしてきた。

 

最終回が放送された数時間後に放送された22日の放送でも「みなさん」の話題に花を咲かせたふたり。

 

今日はその中でも、番組の終末期を語る上で外すことのできない人気企画「全落(ぜんらく)オープン」(落とし穴に落ちるときのリアクションや美しさを競うというドッキリ企画)についてのネタばらし的な部分が面白かったので、紹介しながら、この番組について書いておきたい。

 

全落のネタばらし

矢作:全落に関してはね。まあ番組でもよく言ってますけど、(落とされる側は)ほとんど知ってました(笑)

小木:バレてたね

矢作:あの~、はい(笑)

小木:わかりますよそりゃ。ドイツ村だから

矢作:ドイツ村っていうね、木更津に大きいアミューズメントパークがあるんですよね。なぜかそこがいつも(ロケに場所を)貸してくれるんですね。中々あんな大きい場所で落とし穴作っていいとこっていうのは、そう探せるもんじゃないんですね。

だからドイツ村ばっかになっちゃうんですね

小木:そうなんだよ

矢作:「みなさん」の収録っていうのは木曜日と金曜日にあるんです。必ず。それで(スケジュールに)「木曜日 ドイツ村」って入ってたらもう落とし穴しかない(笑)

小木:そうなんだよね

矢作:撮影秘話といえば、まあもう終わったからいいますけど、後半はどんだけわからない振りして落ちるか選手権になってました

小木:いや、ほんとそう。しらばっくれてさ。知らない振りして

矢作:どんだけ知らない振りをして上手くやるか

 

合言葉は「大丈夫でしょ。みんなプロだから」

矢作:俺とノリさん(とんねるず木梨憲武)がレポーターで現場にいるんだけど、やっぱ雨降ったりすると、落とし穴って弱いんです

小木:弱いよね

矢作:だから、結構落とし穴が浮き出て見えちゃったりする(笑)「絶対ダメだろ。すぐわかるだろ」っていう話になるんですけど。

俺とノリさんの合言葉だけど「大丈夫でしょ。みんなプロだから」(笑)みんなプロだからそんな野暮なことはしません

小木:たしかにそうなんだよ

矢作:っていう撮影秘話は、全落に関してはありますよね

 

 

「みなさん」のスタッフは優秀

矢作:落とし穴もどんどん成長していってね。最初は穴結構小さかったのよ

小木:そうだったんだっけ

矢作:小木とか全速力で落ちたりするから。全速力でいったときに、落とし穴が長方形に長くないと、(落とし穴の)縁(へり)にぶつかっちゃうの

小木:そうなんだよね

矢作:意外と走っていくと長くて、胸とか

小木:意外と胸とかよく当ててた。危なかった。それで大きくしていったんだ

矢作:そう。それでどんどん大きくしていったりとか。やっぱり必ず、ADがやるのよシミュレーションを。だけどADのシミュレーションだから本気で走んないんだよね。あと知ってるし。だから小木とかみたいに本気で走るとね

小木:危ないんだよね。本当に怖かったもん。わかってるからこっちも(笑)

矢作:何度もやってるだけあって、もう途中から安全性がハンパじゃない。「あんな落ち方して怖くないの?」とかよく聞かれるんだけど。もうね、ホント(落ちても)どっこも痛くないの!

小木:ふっかふかだからね。(落とし穴の)中ね。 

矢作:ふっかふか。アトラクションとして落としてあげたいぐらい

小木:気持ちいいぐらい柔らかいの。ふわっふわで(笑)

矢作:もうスゴイのあの安全性。怪我をする確率0パーセント

小木:あれも時代なんだね。絶対怪我のないような感じになってるから。信頼できてたもんな。最後の方は落ちるにしても。どうせ大丈夫だろうと

矢作:あれはほんと皆さんの美術の人を称えたいよ。優秀だよ

小木:優秀ですよあの人たちは。本当にプロだよね

 

 

視聴者を「内輪」に引き込んだ「スター性」

とんねるず=「みなさん」の笑いについては、これまで「内輪ウケ」だの「楽屋オチ」だの「部室ノリ」だのさまざまな形容がなされてきた

それらは間違いではない。確かにそうである。

彼らは自分たちの「内輪」の中に視聴者を暴力的なまでに強引に引き込み、結果、80~90年代のテレビバラエティをけん引してきたのだ。

しかし、視聴者を引き込もうといっても、吸引力が必要だ。おぎやはぎもラジオ番組の中で口々にとんねるずを「スター」と呼んだ。まさに、とんねるずが持って生まれた「スター性」こそが、視聴者を「内輪」に引き込んだ力に他ならない

とんねるずが「お笑い芸人」という呼称が似合わないのはそこにあると思う。彼らはお笑い芸人より先に「スター」だったのだ。

話は少し逸れるが、とんねるずが一貫してSNSと距離を置いているのもそういうところに理由があるのではないか。スターは下々の者たちの手に届いてはならないのだ。

 

とんねるず=「みなさん」の限界

同時に、とんねるず=「みなさん」の「限界」もそこにあったんじゃないかと思った。

おぎやはぎは別に悪くないのだが、抜き出したように「プロの演者への信頼感」「優秀なスタッフの仕事」というのは確かにこの番組にはあったのだろう。

ただ、その一方でそのふたつがそろえば視聴者が喜ぶわけでもないのである。視聴者側のことは果たして見れていたのか。

視聴者不在のまま、演者とスタッフが称えあっている光景――想像に過ぎないが、それはとてもとても今のフジテレビらしい光景に見えてしまうのである。

 

おちょくってはいません。心配してるんです

「みなさん」最終回の最後には、とんねるずが自分たちのヒット曲「情けねえ」を熱唱した。

 

情けねえ

情けねえ

 

 

最後のフレーズを「フジテレビを」「おちょくるなよ」と替え歌で歌ったふたり。その「上から目線」はやはり、我々の頭上に輝くスターらしいのだが、もはやぼくらはフジテレビをおちょくっておらず、むしろ「心配」しているのだと思っている。

 

なにはともあれ、とんねるず=「みなさん」=フジテレビが一時代を築いたことは確かなのである。

いつかまたモジモジくんがまた見られることを願って。

バーイ、センキュー。

 

おまけ:先週15日放送分の全落について語った箇所(個人的にエモかったので)

矢作:感動したよ。俺、現場でリポーターやってんじゃない。ノリさんと。

今回一番感動したのはね、日村さんだね。(中略)

俺にしか聞こえなかったんだけど、落ちて引き上げるときに、一回(カメラを)止めるときがあって「あーあ、終わっちゃった」つったの。

小木:ああ、なるほど。全落が最後だし日村さんが落ちるのは最後だしね。

矢作:そうそうそう。穴の中で「あーあ、終わっちゃった」って。

(中略)

矢作:設楽さんが落ちた時も「二度と落とし穴にことはないんだろうな」って日村さんが言ってた(笑)

小木:まあ確かに日村さんは体張ることはあると思うけど、設楽さんに対してはないもんね

矢作:とんねるずの番組ぐらいしかなかなか体張ることないでしょ

小木:45を超えてさ、張るのはそれぐらいだもんな。寂しいね。全落